秋深し 小穴の闇は なお深く

顔がない青銅製の人型
首の部分にぽっかりと開いた小穴が想像を掻き立てる

ここは中国成都の金沙遺跡博物館
約3500年前に繁栄していたとされる古蜀文明
その遺構から発掘された膨大な資料の1つである

この文明は、近くの三星堆遺跡に代表される文明が
衰退した後を引き継ぐように数百年間の繁栄を見たと推定されている
太陽神信仰に基づくとされる多くの人形、神像に交じって
展示されているこの像はユニークさで突出する 

「無」ほど想像力を刺激するものはない 

まずこれは完成形なのかどうか

製作途中で放棄されたか、壊れたものであれば首から上の想像をすればよいが、
完成形であれば製作者または企画者の意図を想像するのは難しい 

小穴は後方に貫通しているのだが、見えているのは別の世界で
宇宙の深部にまで繋がっていそうな幻想にとらわれる

最近の物理学によれば、有は無であり、無は有であるとか
生命とは何かについても研究が深化するほど謎が深まる
この人型の作者はそのような何かを感じていたのかも知れない
そんなとりとめのないことを考えながら博物館を後にした